「顧問契約は本当に必要なのか?」
「帳簿の作成は代行会社やAIで代用できるのでは?」
そんな経営者の疑問にお応えするために、私たちの考え方をご紹介します。
1.会計帳簿を作成したら、あとは税金を計算するだけ…ではありません
「決算書で利益が出たから、その数字に税率をかけて法人税が決まる」そうイメージされる経営者の方は少なくありません。
しかし実務では、決算書の「利益」と法人税を計算する「所得」は同じではありません。
そのため、帳簿の中身を確認せずに、決算書だけを見て法人税の申告書を作成することはできません。
会計と税務には、はじめから役割の違いがあります。
この仕組みを知ることで「なぜ税理士が必要なのか」そして「なぜ月次で監査するのか」、その理由と向き合い方が見えてきます。
2.会計と税務は役割が違います
決算書を作る「会計」と税金を計算する「税務」は、似ているようで役割が異なります。
- 会計:会社の成績や状態を示すためのもの(収益 - 費用 = 利益)
- 税務:法律に基づき税額を決めるためのもの(益金 - 損金 = 所得)
会計は、経営判断や金融機関、取引先への説明に使われます。
税務は、法人税法というルールに従って、所得金額を算定します。
この目的の違いがあるため、会計上の利益=所得金額にはなりません。

3.法人税はこうして計算されます
理論的には、法人税は益金から損金を差し引いた所得金額に税率を掛けることによって計算されます。
ただし実務では、会計用と税務用の帳簿を二つ作ることはせずに、会計上の利益を基に調整をすることで所得金額を算出します。
税金の計算は、まず日々の取引を整理した会計帳簿をもとに決算書を完成させるところから始まります。
その後、法人税法のルールに照らして、
- 税務上認められないものを足す(加算)
- 税務上特別に認められるものを引く(減算)
といった調整を行い、税金の計算に進みます。
この足すものと引くものの整理は、月次監査の段階からすでに始まっています。
4.決算書には三つの視点が入っています
決算書は、税金計算のためだけに作られているわけではありません。
- 金融機関からどう見えるか
- 経営判断に使えるか
- 税務上、問題がないか
この三つを同時に満たす必要があります。
ところが、これらは常に同じ方向を向くとは限りません。

5.黒字を減らせば税金は減る、でも…
決算対策として経費を計上すれば、法人税は減ります。たとえば、
- 少額減価償却資産の購入
- 決算賞与の支給
これらの経費は税務上も損金として認められます。
一方で、経費が増えれば当然、決算書の利益は小さくなります。つまり、
- 税金は減る
- でも、会社の成績は悪く見える
といった経営者にとって悩ましい状況が生まれます。
6.なぜ月次で監査するのか
決算や申告は一年分の取引の積み重ねです。
取引の内容や背景は、時間が経つほど確認が難しくなります。
だからこそ、月次の段階から、
- この処理で問題ないか
- 将来、税務上どう扱われるか
を確認しておくことが重要になります。
月次監査とは、数字をチェックするだけでなく、決算と申告をスムーズに迎えるための準備でもあります。
7.私たちが大切にしていること
私たちは、第一にお客様の役に立ちたいと考えています。
同時に、税理士である以上、税法を守ることは大前提です。
その土台の上で、
- 決算書としての見え方
- 経営判断への使いやすさ
- 税務上の適正さ
このバランスを取りながら、月次から決算・申告までを支援しています。
数字で会社を強くする経営、そのお手伝いをしたいと考えています。
よくある質問(会計と税務)
Q1.帳簿は代行会社やAIで作れば十分では?
A.代行やAIは「帳簿作成の効率化」に役立ちますが、税務判断や将来の経営判断に直結する数字の精査はできません。
税理士は、領収証や請求書、帳簿を見る際には、会社の立場・税務判断の両面からバランスを考えて精査しています。
Q2.月次監査って、税理士が申告を楽にするためですよね?
A.確かに否定はしません。しかし、税理士は責任を持って一年分の帳簿を確認する義務があります。
タイムリーな月次監査を行うことで会社の意思決定を早め、決算報告が遅れるといった会社にとって致命的な事態を防ぐことができます。
Q3.決算書の利益と税務上の所得が違うって、なぜですか?
A.決算書は、会社の経営成績と財政状態を客観的に表すもので、経営判断や金融機関への報告のために作ります。
一方、税務上の所得は、法人税を公正に計算するために、決算書の利益に加算・減算の調整をして算出します。
Q4.経費をたくさん使えば、税金は必ず安くなりますか?
A.経費=税務上の損金とは限りませんので、税金が減らない場合も考えられます。
また、税金が減ったとしても、同時に決算書の利益も小さくなります。資金繰りや金融機関からの見え方も含め、バランスが重要です。
Q5.節税の判断は、決算や申告のときに考えれば十分ですか?
A.それでは間に合いません。期中でなければ判断できないことが多いため、毎月の財務諸表の確認が重要になります。
Q6.なぜ税理士は、そこまで細かく確認するのですか?
A.税理士は、申告内容に責任を持つ立場だからです。決算・申告によって会社に不利益が生じないように、月次から確認しています。