経営リスクに向き合うための実践的ステップ
中小企業の経営は、日々の意思決定の積み重ねです。
その一方で、事故・災害・資金繰り・人材・法令対応など、経営を揺るがしかねないリスクは常に存在しています。
当事務所では、こうしたリスクに対し、「気づいたときに対処する」のではなく、「事前に整理し、備える」ことを重視し、経営者と税理士が共同で取り組む体制を構築します。
STEP1 リスクの洗い出し(特定)
最初のステップは、企業を取り巻くリスクを網羅的に洗い出すことです。
業種・事業規模・経営者の考え方・組織体制などを踏まえながら、日常業務の中に潜むリスク、将来的に顕在化しうるリスクを整理します。
- 事業活動に伴う事故・損害リスク
- 資金繰りや収益構造に関するリスク
- 人材・労務・情報管理に関するリスク
- 法令・契約・取引に関するリスク
STEP2 リスクの分析(見える化)
洗い出したリスクを、そのままにしていては事業活動に支障をきたします。
次に行うのが、発生確率と影響度の観点からの分析です。
- どの程度の頻度で起こり得るのか
- 発生した場合、経営や資金繰りにどの程度影響するのか
これを整理することで、「気になるリスク」と「本当に備えるべきリスク」を切り分けます。
STEP3 リスクの評価(優先順位付け)
分析結果を基に、リスクをマトリクス上に配置し、対応の優先順位を明確にするのが評価のステップです。
- 今すぐ対策が必要なリスク
- 段階的に備えるべきリスク
- 現状では大きな対応を必要としないリスク
STEP4 リスク対策と継続的改善
リスク対応の実行後は、効果測定とプロセス改善が必要です。
- 対策による損失の軽減
- 発生頻度の変化
- 経営目標との整合性
といった観点から定期的に評価し、STEP1~4を継続的に回すことが望まれます。
このPDCAサイクルが経営リスクに強い企業体質の構築につながります。
すべてのリスクに同じ労力やコストをかけることは現実的ではありません。
経営資源が限られる中小企業だからこそ、「どこに力を注ぐか」を明確にすることが重要です。
当事務所は、経営者と同じ目線に立ち、リスクを「経営の不安」ではなく「整理できる課題」として扱う支援を行っています。
所長の石川はTKC北海道会のリスクマネジメント制度推進副委員長を務めています。
「リスクマネジメント指導実務」研修の講義風景


リスクアセスメント
企業が直面するリスクは、「起こりやすさ」と「起きた場合の影響」の2つの視点で整理することが重要です。
当事務所では、リスクをこのマトリクス上に位置づけ、優先順位を明確にしたうえで、適切な対応策を検討します。
1.マトリクスを使ったリスク分析と評価の例

マトリクスの軸
- 横軸:発生確率・・・「低・中・高」の3段階
- 縦軸:影響度・・・「弱・中・強」の3段階
この2軸でリスクを整理することで、「どのリスクに、どの程度の優先順位で、どの対応を取るべきか」を判断できるようになります。
2.リスク評価と対応策
- 発生確率・影響度ともに高いリスク(回避)
業務内容や体制を含め、最優先で対策を講じる - 発生の可能性があり、一定の影響が想定されるリスク(低減)
ルール整備や体制変更による低減策を検討 - 発生頻度は低くても、影響が大きいリスク(移転)
保険等を活用し、損失を外部に移転 - 影響度・発生確率がともに低いリスク(保有)
通常管理の範囲で対応
このように経営への影響度を軸にリスクを可視化することで、「何に備えるべきか」「どこに経営資源を配分すべきか」が明確になります。
3.各領域におけるリスク対応
| 評価 | 行動 | 例 |
|---|---|---|
| 回避 1⃣ | 事業、体制、取引そのものを見直す | 重大事故につながる体制、法改正未対応による業務継続不能 |
| 低減 4⃣7⃣8⃣ | ルール変更、分散化で発生頻度を抑える | 担当者依存による業務停滞、管理不備によるPCデータ損失 |
| 移転 2⃣3⃣5⃣6⃣ | 自社で吸収できない損失は保険で備える | サイバー攻撃による業務停止、取引先倒産による資金ショート |
| 保有 9⃣ | 通常業務の中で吸収可能 | 一時的な原材料価格の小幅変動、単発的な軽微クレーム |
よくあるご質問(リスクマネジメント)
Q1. リスクマネジメントは、大企業だけの話ではありませんか?
A. いいえ。
人・資金・時間に余裕がない中小企業ほど、リスクの影響を強く受けます。
一度のトラブルが経営全体に及ぶ可能性があるため、規模に関わらず取り組む意義があります。
Q2. リスク対策は、コストがかかるイメージがあります。
A. 対策の目的は、コストを増やすことではなく、大きな損失や判断ミスを未然に防ぐためです。
業務の見直しや体制整備だけで低減できるリスクも多くあります。
Q3. 事故やトラブルが起きてから対応すればよいのでは?
A. 起きてからでは、選択肢が限られるケースがほとんどです。
事前に整理しておくことで、何を優先し、どう判断するかを落ち着いて決めることができます。
Q4. リスクマネジメントは、保険に入れば十分ですか?
A. 保険は有効な手段の一つですが、それだけで十分とは言えません。
業務体制や取引の進め方を見直すことで、保険に頼らずに減らせるリスクもあります。
Q5. 経営が忙しく、リスクまで手が回りません。
A. 日常業務の延長で取り組める形にすることが重要です。
リスクを整理することは、経営の不安を管理できる課題に変える作業でもあります。
Q6. リスクマネジメントに取り組むと、何が変わりますか?
A. 経営判断の基準が明確になります。
想定外の出来事に振り回されにくくなり、中長期的な視点で経営を考えやすくなります。
Q7. なぜ税理士がリスクマネジメントに関わるのでしょうか?
A. 税理士は、企業の数字・契約・制度を継続的に把握している立場にあります。
そのため、売上や利益だけでなく、資金繰りの変化、取引構造の偏り、制度変更の影響など、表面化しにくい経営リスクに早い段階で気づきやすいという特徴があります。
当事務所は、経営者が日々の意思決定に集中できるよう、第三者の視点でリスクを整理し経営判断の土台づくりを支援します。